相手が無理な要求をする、無視をする場合は家庭裁判所へ

相手がある程度の財産を要求してきた場合、 どこまで受け入れなければならないのでしょうか?

非常に悩ましい問題です。

相手には法律で定められた分を主張する権利はありますが、 遺産相続は財産の状況や、 これまでの生活状況等をすべて考慮して決定されるため、 必ずすべての人間に「○分の1」という権利が、 保証されているわけでもないのです。

例えば自分は長い間、親の面倒をみてきたので、 相手に法律どおりの取り分を渡したくないと思えば、 そのことを相手に伝えることになります。

私はこういう気持ちなので、 ここまでは払うけどこれ以上は払わないと伝えて、 それで相手の了解が得られれば、無事に終了します。

しかし相手の了解が得られず、 自分も相手の要求を受け入れることができなければ、 あとは裁判手続きに移行する事になります。

もし、このようなやり取りがいやであれば、 相手の要求どおりの金額を払って、 終わらせてしまうしかないでしょう。

相手に渡す金額は大きいですが、 相続手続が非常に短期間で終わるため、 ストレスはかなり少なくてすみます。

結局、相手の要求にどこまで応じるべきか?という基準は、 話し合いをどこまでがんばるのか? というあなたの気持ちにかかっています。


話し合いでまとまらなければ家庭裁判所へ


どうしても話し合いがまとまらなければ、 裁判手続きで決着する事になります。

しかし相続の裁判というのは、 いきなり本当の裁判でやりあうのではなく、 家庭裁判所というところで調停という 「話し合い」のような手続きを経なければならない、 と定められています。

【民法第907条第2項】

遺産の分割について、 共同相続人間に協議が調わないとき、 又は協議をすることができないときは、 各共同相続人は、 その分割を家庭裁判所に請求することができる

【家事審判法第18条】

調停を行うことができる事件について 訴を提起しようとする者は、 まず家庭裁判所に 調停の申立をしなければならない。

家庭裁判所の調停では、 当事者双方から言い分をじっくりと聞き、 世間一般ではだいたいこのように決着している、 という旨の解決案が示されます。

ですから本当の裁判とは異なり、 当事者の出席が義務付けられています。

弁護士にすべてをまかせて、 自分は裁判所に行かなくてもよい、 ということは認められていないのです。

そして優秀な弁護士を同席させたからといって、 有利な条件で決着するわけでもありません。

上手に話をするほうがが有利で、 上手に話ができないほうが不利、 ということはありません。

つまり双方の立場や言い分を平等に汲み取って、 平等な解決案が示されるのが、 家庭裁判所での調停手続きなのです。

家庭裁判所で解決できないケースというのは、 どちらか一方が財産を隠していたり、 生前に財産を勝手に使い込んだりした場合などです。

この場合は、その証拠の効力を争う事になります。

このような争いを家庭裁判所で判断するのは不向きですから、 本当の裁判へ移行していくことになります。


家庭裁判所での調停手続きの流れ


①家庭裁判所に家事調停の申し立てをする

②2週間ほどで、調停期日のお知らせが届く

③お知らせが届いてから1ヶ月後ぐらに、

第1回目の調停が開かれる

④月1回ぐらいのペースで調停が開かれる

⑤3、4回の調停して、合意できれば終了

⑥合意できなければ、家庭裁判所が審判を決定する

家庭裁判所に、戸籍等の必要書類をそろえて 「相続による調停の申し立て」という書類を提出することで、 家庭裁判所での手続が始まります。

申立書と必要書類を提出すると、 2週間後ぐらいに家庭裁判所から、 調停期日のお知らせと呼出状がとどきます。

調停期日は呼出状が届いた日から、 1ヵ月後ぐらいの日が指定されています。

なお調停が行なわれる家庭裁判所は、 相手方の住所に近いところです。

例えば相続人の1人が東京で、 1人が名古屋のケースを考えます。

東京の相続人が申し立てをした場合は、 調停は名古屋の家庭裁判所で行なわれます。

東京の1名の相続人は、 自費で名古屋まで行かなければなりません。

調停期日に出頭すると、調停委員という方が、 申立人と相手方の双方から直接事情や意見を聞き、 双方が納得のいく適切な遺産の分割ができるよう、 話し合いを進めます。

調停委員は、家庭裁判所の裁判官に状況を報告し、 調停の進行方法を決定してきます。

必要に応じて、家庭裁判所調査官が事情を聞くこともあります。

調停は月1回のペースで開かれ、 3回ほど行われたところで調停委員から調停案が示されます。

その調停案に双方が合意すれば、終了となります。


調停が不成立の場合


調停というのは、双方が合意してはじめて成立します。

もし最終的な調停案につき、 片方または双方が納得しない場合は、 調停は不成立となり、 家庭裁判所の審判手続きに自動的に移行します。

審判というのは、 家庭裁判所の裁判官が決める判決のようなもので、 双方が納得するしないにかかわらず、決定事項とされます。


無視をする相手をどうするのか


家庭裁判所の調停申し立てをすると、 相続人全員に呼出状が届きます。

この呼び出しを正当な理由なく無視をすると、 5万円の罰金が課されます。

それでも、家庭裁判所の調停手続きに出席しない人もいます。

この場合は自動的に調停不成立となり、 家庭裁判所の審判手続きに移行します。

家庭裁判所の審判手続きにおいて、 正当な理由なく欠席をされる方には、 とても不利な判断が下されるようになっています。

ですから家庭裁判所の手続きを取りながら、 無視をされ続けるのであれば、 こちらにはとても有利な結果となります。

ということは相手に手紙や電話で連絡をとってみても 無視をされて困ってしまった場合は、 積極的に家庭裁判所を利用するとよいでしょう。

家庭裁判所の力を借りれば、 無視をする相手に対しても、 強制的に手続きに参加させることができるからです。

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