自筆証書遺言の基礎知識

筆証書遺言とは、 誰もが自宅で簡単に書ける遺言方式のことです。

そして誰もが自宅で簡単に書ける反面、 遺言の法律基準を満たさずに無効となる場合がよくあります。

したがって自筆証書遺言を作成する場合には、 法律基準をよく理解しておかなければなりません。


自筆証書遺言の概要

・遺言書の全文が遺言者の自筆で記述(代筆やワープロ打ちは不可)

・日付と氏名の自署

・押印してあること(実印である必要はない)

・遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。


作成上の注意点

①自筆で書かなければいけない

遺言者が自筆で全文を書きます。

パソコンで作成したものや、代筆されたものは認められません。


②筆記具は自由

筆記具や用紙に法律上の指定はありません。

ただ誰かに勝手に書き直されてしまったり、 遺言開封時に読めなくなってしまっていては意味がありません。

消すことのできないペンや耐久性に優れた紙を使用してください。


③作成日の記入が必要

遺言には必ず作成年月日を正確に記入してください。

「2010年5月吉日」など、日付が特定できない表現も認められません。

また遺言が複数見つかった場合は、常に新しいものが有効となります。

そのときどの遺言が最新かについては、 遺言に書かれている年月日で判断されます。

もしまったく同じ日にちの遺言が2通発見され、 どちらが後に作られた遺言かわからない場合があったとします。

この場合は遺言の内容を見比べて、 先に書いた内容を否定しているような内容の遺言を、 後に作られた遺言とします。

内容を見比べてもまったく前後の判別がつかないときは、 その遺言は2つとも無効とされます。


④署名押印が必要

遺言の末尾に必ず署名押印が必要です。

印鑑は実印でなく、認め印でも構いません。

署名についても正確な本名ではなく、 通称など本人が特定できる表現であれば有効とされます。

⑤縦書きでも横書きでもよい

遺言は縦書きでも横書きでも構いません。

また記載内容から遺言であると分かれば、 「遺言書」という題名がなくても構いません。


⑥訂正の方法は法律に従わなければいけない

遺言作成後に追加や修正をしたい場合は、 民法に定められた方法で行わなければなりません。

追加の場合

法律上は「加入」と表現します。

文や言葉を加入したい箇所に加入の記号(「く」の字)を付けます。

縦書きの場合は文章の右に、横書きの場合は文章の上に付けてください。

「く」の字の中に加入したい文や言葉を書き加えます。

加入したい箇所に遺言に押印したものと同じ印鑑で押印します。

加入した行の欄外に「本文○字加入」と書きます。

削除の場合

削除したい箇所を原文が読めるように二重線で消します。

二重線の上に遺言に押印したものと同じ印鑑で押印します。

削除した行の欄外に「本行○字削除」と書きます。

訂正

訂正したい箇所を原文が読めるように二重線で消します。

二重線の上に遺言に押印したものと同じ印鑑で押印します。

縦書きの場合は削除箇所の右に、 横書きの場合は削除箇所の上に正しい文・言葉を書きます。

訂正した行の欄外に「本文○字削除 ○字加入」と書きます。

※修正個所が多数ある場合は、遺言を作成し直すことをお勧めします。


⑦封筒にいれなくてもよい

法律上は、遺言を封筒に入れなければならないわけではありません。


自筆証書遺言の具体的な書き方

①相続財産は明確に記載する

【不動産】

権利書の内容を書き写してください。

こうしないと不動産の名義書換えはできません。

【株券等の証券】

会社だけでなく、株数も記載します。

【預金口座】

金融機関名を支店まではっきりと書き、口座番号を明記します。

ただし残高は必要ありません。

遺言作成時と相続発生時では残高が異なってしまうからです。

「遺言者名義の全ての預貯金」という書き方でも構いません。

②「相続させる」という表現を使用する

遺言で誰かに財産をあげることを書く場合は、 「A子に預金をすべて相続させる」という表現を使用してください。

他の表現よりも、文言の解釈でもめることがないからです。

特に不動産については「相続させる」と記載すると

・相続する人単独で名義変更が可能になる

・名義変更時の税金が安くなる

というメリットもあります。

「遺贈」という表現を使うと、名義変更に他の相続人の協力が必要となったり 名義変更時の税金が数倍になってしまうことがあります。

③遺言執行者を指定する

遺言は人が死んだあと、 その遺言内容を手続きしてくれる人が必要です。

その言内容を手続きしてくれる人のことを 「遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ」 といいます。

そして遺言内容を実現してくれる「遺言執行者」を、 誰にするのか遺言で指定することができます。

指定する場合は、その人の住所と氏名を記載しておきます。

④最後の言葉を添える

遺言を書いた理由や遺された家族に対する、 最後の気持ちを最後に書き添えます。

どのような言葉でも構いません。

素直な気持ちを表現しましょう。

こうしたほうが、 残された方が素直に遺言の内容に従ってくれます。

また財産の一部または全部の分割を相続人間の協議に任せる場合や、 生前贈与を加味しないことを望むなら、 その旨を書き添えてください。


遺言書の保管場所

遺言が完成したら、あとはそれを保管しておくだけです。

自筆証書遺言は内容を気にする相続人に見られてしまったり、 改ざん、破棄されてしまうおそれがあります。

したがって、誰にも見られないところに保管しておくべきです。

しかし相続が発生した際には、 家族に見つけてもらわなければなりません。

安全に保管できて、 相続発生時に遺言の存在が明らかになる場所が理想的です。

例えば、下記のような場所がおすすめです。

・自宅の金庫

・銀行の貸金庫

・信頼できる家族や友人に預ける

金庫や貸金庫を利用した場合、 信頼できる家族に遺言を保管した旨を伝えておきましょう。

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